はい、TAMAIです。3月22日、月曜日に『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』を観ました。今回はその感想文です。こういった、作品を観ての感想、という具体的な名前が出る内容をここには書かなくてもいいかなとも少し考えていたのですが、今後のためにも書かれる内容やテーマにわざわざ制限を設けなくてもいっか、エッセイとはそういうものでしょうと、勝手に考え直して書く事にしました。
とはいえ、今回は基本的には観た後の僕の心情というものにフォーカスが当たります。が、ネタバレもあります。
ストーリーの構造や内容、描写等についてはほとんど触れる事は無いと思いますが、何をもってネタバレというかはそれぞれボーダがあると思います、僕個人としては、全く内容に触れていなくても観た後のリアクションがそもそもネタバレである、と判断する事にしているのでネタバレが嫌いな方は、読まないようにお気をつけください(逆にネタバレされる事には、僕はそこまで抵抗が無いタイプではあります)。
まあ、どっちにしろ観ていなければ、ちんぷんかんぷんな内容にはなるでしょう。
注意《以下ネタバレを含む、かも》
まず、はじめに一つだけ。もしあなたが過去に、一瞬でも“エヴァという何か”に熱を上げた経験があるのであれば、劇場に観に行く価値があります。そういった思い出だけが、見るにあたり必要なものです。他には必要ありません。
なんとも不思議な感覚です。本当に、しみじみと終わったんだなと感じます(こうして、テキストを書いている今でも)。
映画を観終わってこんなに平穏な気持ちになる事は他の作品では無いでしょう。それぐらい完璧に終わりました。
ストーリーがどうとか、解釈がうんぬん、設定がキャラが、そういったものはさておき。
映画そのものが、見事にエヴァの終りを告げるセレモニーでした。
僕が観終わった時の感覚は例えるならば
遠い昔に、さよならを告げる事が出来ずに別れる事になってしまった友人がいて、その墓標の在り処を今になって教わった気分でした。僕の中では既に決着は付いていたけれど、さよならとありがとう、その言葉を告げる機会をくれました。
そういった儀式、まさに卒業式でした。
人によっては卒業ではなく、別れかもしれないし、解呪、解放あるいはカイホウかもしれません。
あなたが卒業生なのか、在校生なのか、教師なのか、背後に立ち子を見守る親、縁者なのか、それによって反応は変わるでしょう。
僕は泣きませんでした、現実で成長し、作品より先に大人になってしまっていました。
良い映画に出会った時、心動かされる映画に出会った時、劇場を出る時に、世界がいつもの風景が煌めいて見えるものです。皆さんも、同じような経験があると思います。今回はそれがありませんでした。映画が良くなかったわけではありません。素晴らしく良かった。ただ、現実は変わらずにいつもそこにありました。だから、変わらない世界が見えました。
卒業式とともに、その校舎も役目を終えました。卒業生は泣き、取り残された在校生は、喚くかもしれません。僕はそのどちらでもありませんでしたが、思い出とともに、ただ静かに、ありがとう、そしてさよならと心の中で呟くのです。
“エヴァの終わり”とは、夢の終りかもしれないし、アニメの終りかもしれないし、セカイ系の終わりかもしれないし、親と子、人の別れかもしれないけれど、今までと違って決して拒絶では無い、現実に戻る時が来たんだというやさしい知らせ。
すべてのファンも、キャラクタも、そして監督自身も救われたであろう、やさしい作品でした。
庵野秀明のエヴァは、もう一分の隙もなく終わったと、感じさせられましたが、今後もしかしたらエヴァンゲリオンバース的(マルチバース)な、作品は出る余地があるのかな、というわずかな期待を勝手に持ちつつ、改めて
ありがとう、そしてさよなら
追記
既に、上記のテキストは書き終えていたのだけれど、27日に、もう一度観ました。
本当は、考察をするような熱心といえるファンでは、全く無いし、セレモニーに2回参加するのも野暮だよな、と思っていたので迷っていたのだけど、なんなら2回目の方が危うく泣きそうだった。
書き忘れていたけど、宇多田ヒカルの『One Last Kiss』が本当に良くてずっと聞いている。
あと、新しい入場特典はもらったのはまあいいんだけど、実は売り切れで劇場パンフレット買えてないんだな〜。
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