ダンスをする=身体が柔らかい、ってイメージ皆さん持ってませんか?
確かにプロなら、ダンサーはアスリートな表現者である以上、身体の意識は一般の方に比べて高いはずです。
これはダンスのジャンルに関わらずだと思います。タンゴであれ、コンテンポラリーであれ、ストリートダンスであれ、なんであれ。
但し、柔らかさというのが、関節の可動域のことを指している場合は、ダンスのジャンルによって変わることも多いと思います。バレエであれば、股関節周り、肩周りの可動域は皆さんご存知の通りですし、より瞬発系なダンスでは機動力を重視すれば、バレリーナほどの可動域は必要ないでしょうし、関節の柔らかさはより筋力を必要とすることが多いです。
今回は、プロに限らず、一般にダンスを嗜んでいる方に向けて、はたまた一般の人へのストレッチの意義を考えてみたいと思います。

ストレッチは何のためにやるのか?
人によって、「本当に身体が硬くて、、」「怪我の防止のために、、」「メンテナンスの為に、、」「ダイエットの為に、、」
いろんな理由があると思います。
そしてまた、ストレッチにはほんとに沢山の理論や方法、メソッドがあると思います。
私もまたスタジオでコンディションのクラスを持っていましたし、現在はOnlineでストレッチのクラスを行なっています。
ダンスをする人がストレッチを求める理由の一番多いのは”柔らかくする為”だと思います。次いで、痛い箇所や弱いところがあって緩める為に、というのが多いかな。
しかし、私がストレッチに求める意義は筋肉や関節の可動域拡張だけではありません。(もちろん重要です)
どちらかと言えば、私が皆さんに勧めるストレッチの時間とは、
”自分の身体と主観的に、そして客観的に向き合う時間”
と言えます。
自分の身体と主観的に向き合う
これは、ストレッチの時間をマインドフルネス的に捉えることにもなりますが、今日の(今の)自分の身体を意識する、ということ。
皆さんは、今、身体が何を感じているか、どのくらいの深さで呼吸しているか、意識する時間を取っているでしょうか。交感神経を優位にさせているお仕事タイムでは、きっと考えることに集中して脳みそだけで活動している、なんて事もあると思います。もちろん、身体を使う仕事の人は交感神経がバリバリの時に身体をフルに意識しているはずですが、今は一般の方に向けて。。
座り仕事だったり、PC仕事だったり、立ち仕事でも、、体勢が辛くならない限り身体のことを忘れて作業に没頭していると思います。
そういう人たちにとって、ストレッチタイムは深呼吸をして身体が何を感じているか、向き合う時間となり得ます。深呼吸は副交感神経スイッチとなり、リラックスを促し、強張った身体を伸びやかに使うことを思い出させてくれます。
関節や筋肉の可動域だけでなく、今の身体はどう感じているのか。今の状態よりもう少し伸びそうだな、、この痛みくらいまでなら心地よく感じるな、、この体勢になるとこのお肉が邪魔だな、、、この体勢になると普段見えない身体の部位が見えるな、、などなど。
これは習慣化されたストレッチの方が、普段の自分と比較ができて変化に気付けるので望ましいですが、単発のマインドフルネスな時間としても、もちろん有意義なはずです。
習慣化されたストレッチのメリットは、考えることを少なくできることです。
ヨガの良さはその決まったルーティンにあると思います。ヨガを習慣化している人は太陽礼拝(という流れ)をしながら、呼吸だけに集中し身体を温めていくことができます。
ストレッチクラスの単発受講の残念な点は、皆さん、ポーズに気を取られて身体の対話まで行きつかないことです。もちろん、最初はポーズを真似ることから始まりますが、そのポーズがどこを伸ばしているのかを理解したら、次は今の身体はどう感じているかに耳を傾けてみてください。
ぜひ、考えるより感じることを優先する時間を作ってみてください*
自分の身体と客観的に向き合う
ここからは、ダンスをしている人向けかもしれません。
自分の体を客観視する、とはどういうことでしょう?
ダンスをする上で、皆さん練習の時に鏡を見ることありますよね。自分の身体がどういう形をしているか、どう見えているか、のチェックをすると思います。
ではストレッチにおける客観視とは何か。
それは、先生のポーズが自分もできているのか、のチェックではありません。
これは、自分が意識した部分が意識したように動かせているか、の細部のチェックです。
例えば、こんなことはないですか?
ダンスの先生から「肩が上がってるよ」と注意されたので下げたつもりだったのに、「それは腕を下げただけだよ、肩を下げて」と言われたり。
ダンスの基礎は自分の身体が自分の思っているように動かせているか否か。これに尽きると言っても過言ではありません。身体の意識の細分化は、ダンスをやる上でとても役に立ちます。
講師は肩を下げさせる為に、肩甲骨を意識させたり、鎖骨を広げるイメージを伝えたり、はたまた背骨を上に引きあげるように伝えたり、、様々な方法で身体を意識させようとしています。
いろんな手を尽くしますが、講師からすると、身体の意識が細分化されてる生徒は飲み込みが早いと感じるはずです。
肩を下ろして、と言われてすぐに肩甲骨を意識し降ろせる人。水平を保って、と言われてイメージ通りに身体が縮まない人。
、、、ちょっとダンス寄りになりました。この身体の意識の細分化はコンテンポラリーダンスをやる人には命題のようなところがありますが、(こういう身体を細分化する意識のワークショップは、ダンサー向けでなくとても多いと思います)意外とダンスをしている人でも、かなり大雑把な意識をしている場合もあります。
このような場合にも、客観的なストレッチの時間はダンス練習の外で有効だと思います。
今自分がどこを動かしているかを意識する積み重ねが、どの骨を動かし、どの筋肉を動かし、さらにはどんな身体のパーツの連携を生んでいるのかを感じることができるようになっていきます。
もちろん、鏡の前でストレッチをしろ、という訳ではなく、身体の意識の引き出しを増やしていくイメージです。ストレッチをすることによって普段感じることのない筋肉だったり、感覚を沢山作ることによって、身体は充実していきます。
ただストレッチを漫然と行うのではなく、せっかくやるのであれば、主観的、客観的な意識を持って身体と向き合う時間にしてみてはどうでしょうか。自分がどの部分を動かしているかが理解、コントロールできればダンスの上達は著しくなるはずです。(と、願いたい、、!w)
さて、ここまでストレッチをする意義をお伝えしてきました。ダンスをする人のみならず、人間1人に1つ授かってる自分の身体を大事に意識することは、人生においてとても有意義なことだと思います。ぜひ、皆さんゆっくりと身体と向き合う時間を作ってみてくださいね!
追記:ストレッチについては、今回はこういう時間にしてみては、こういうことを意識してみてね、と伝えましたが、ウォームアップとしてやる内容、クールダウンとしてやる内容、トレーニングとしてやる内容、それぞれ違うと思います。どれをやるにしても主観的に、客観的に、の内容は当てはまると思いますが、目的によって静的なストレッチが必要ない時もあるのでご留意ください**
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